矯正歯科の治療方法と効果について

矯正歯科とは?

矯正歯科は、歯や顎の位置を改善し、口腔内全体の機能を向上させることを目指した歯科の専門分野です。
これは主に、不正咬合(歯並びや噛み合わせの問題)を治療するためのものであり、審美的な改善と機能的な改善の両方を目指します。
歯の矯正は、見た目の美しさの向上にとどまらず、食べ物を噛む機能を高め、発音を改善し、さらには全体的な口腔の健康維持に貢献します。適切な治療により、長期的な歯科疾患のリスクを減らすことができるため、多くの専門医が矯正治療を勧めています。

矯正歯科の治療方法

矯正歯科では多様な治療方法が用意されており、患者さまの個別のニーズや状態に応じて最適なものが選ばれます。

1. 歯列矯正ブラケット
メタルブラケット
最も古典的かつ広く使用されている矯正法です。
金属製の小さなブラケットを歯に接着し、それらをワイヤーで連結する方法です。このワイヤーに徐々に力が加わり、歯をゆっくりと動かしていきます。
その耐久性と効果の高さから、特に重度の不正咬合の患者に適しています。
ブラケットのデザインや色のバリエーションも豊富で、近年ではより審美性が考慮された選択も可能です。

セラミックブラケット
メタルブラケットとは異なり、透明または歯の色に似た素材を使用しているため、装着していても目立ちにくいという特徴があります。
見た目を気にする成人の患者さまに特に人気です。
これらのブラケットは視覚的に優れていますが、素材自体が金属よりも衝撃に対して弱いため、取り扱いには注意が必要です。

2. マウスピース型矯正(インビザライン)
目立たない透明なアライナーを使用する矯正法で、最新のデジタル技術を駆使して患者それぞれに合わせたカスタムアライナーを作成します。
アライナーは取り外しが可能なので、食事や歯磨きの際に非常に便利です。
しかし、効果を得るためには1日20時間程度の装着が必要なため、ある程度の自己管理が求められます。
この治療法は、開発時は主に軽度から中程度の歯列の不正に対して有効と言われてきましたが、現在ではワイヤー矯正で難しいケースをも治療できるようになりました。

3. リンガルブラケット
ブラケットを歯の裏側に装着する方法です。主に見た目を気にする患者さまに選ばれ、特に社会生活や職業上、口元の見た目が重要な成人に適しています。
リンガルブラケットは外からはほとんど見えないため、会話や笑顔などに影響を与えないのが大きなメリットです。
しかし、舌に近い位置にブラケットを装着するため、舌に違和感を感じる場合があり、特に初期段階では発音に影響が出ることもあります。

4. 部分矯正
患者さまの特定のニーズや小規模な修正が必要な場合に使用される施術です。
最小限の装置や期間で、前歯の軽度の不規則な配列を改善するのに適しており、短期間で成果を出すことができるのが特徴です。
この治療は一般的に、成人の軽度な歯の移動に利用されることが多く、費用的には下がるのですが、歯列不正の原因は臼歯を含め全体にあることが多く、部分矯正で改善できる症例は少ないのが現状です。

矯正治療の効果

矯正治療は見た目だけでなく、健康や機能面でも多くのメリットをもたらします。

1. 審美性の向上
歯並びが良くなることで、笑顔に自信が持てるようになり、心理的にも大きな影響を及ぼします。
特に歯列が整っていることは、対人印象を良好にし、社会的コミュニケーションにおいて大きなポイントとなります。
見た目の改善によって自己肯定感が高まり、積極的な人生を送る助けになります。

2. 口腔機能の改善
正しい咬み合わせは食べ物を効率よく摂取するために重要です。
矯正治療によってかみ合わせの精度が向上し、食物の粉砕が効率よく行えるようになります。
これにより消化器への負担が減り、栄養の吸収効率が向上します。

3. 歯の清掃性向上
均整の取れた歯並びによって歯磨きがしやすくなり、口腔内の衛生環境が向上します。
これにより、虫歯や歯周病の予防が促進されます。歯と歯の間のスペースが適切になるため、フロスなどを使用したデンタルケアが効果的に行えます。

4. 長期的な歯の健康維持
不正咬合や歯並びの悪さは、時間の経過とともに歯や歯周組織に負担をかけることがあります。
矯正治療はこれらのリスクを軽減し、歯の耐久性を高める結果をもたらします。
また、正しい咬み合わせは顎関節への負担を減らし、顎関節症などの予防にもつながります。

矯正治療の流れ

1. カウンセリングと診断
初診では、まず患者さまの希望をヒアリングし、詳細な口腔内の検査を行います。
レントゲンや口腔内スキャニングを利用して、歯や顎の状態を詳しく確認します。
これにより精密な診断が可能となり、個別の治療計画を立てます。
患者さまはこの時点で、治療の選択肢やそのメリット・デメリット、予測される治療期間および費用について詳しく説明を受けます。

2. 治療の開始
診断に基づき、選択された矯正装置を装着します。
装置が口腔内に取り付けられる際、初期には圧迫感や軽度の痛みを感じることがありますが、通常は数日で慣れてきます。
担当医が最初に示した治療計画に沿って段階的に治療が進行します。

3. 定期検診
治療中は、数週間から月に一度程度の間隔で定期的な検診が必要です。
担当医は患者さまの治療の進行状況を確認し、必要に応じて矯正装置の調整を行います。
これにより、計画通りの歯の移動が確実に行われるようサポートします。
さらに、患者さまが感じた違和感や問題に迅速に対処する機会でもあります。

4. 治療完了と保定
すべてのターゲットとする歯の位置が理想的な状態に移動したら、装置を取り外します。
しかし、歯は元の位置に戻ろうとする性質があるため、治療後も保定装置(リテーナー)を使用します。
この保定期間は治療期間と同程度か、それ以上に重要であり、慎重に管理することで長期的な安定が得られます。

いかがでしたでしょうか?

矯正歯科治療は、個々の歯並びやかみ合わせの問題を解決するための多様なアプローチを提供するものです。
外見上の改善だけでなく、機能性の向上や歯の長期的な健康維持に大きく貢献します。
矯正治療を通じて正しい歯並びが得られることで、患者さまの生活の質が大幅に向上し、健康的なライフスタイルがサポートされます。
各患者さまに最適な治療法を選ぶことで、効率的かつ効果的に理想的な歯列を実現することが可能です!

▽江口矯正歯科クリニックの専門医より一言!

 矯正治療は上記のように審美性の改善、噛み合わせなどの口腔機能の改善、清掃性の改善など多くのメリットがあります。
その中でもやはり嬉しいのは見た目、審美性の改善ではないでしょうか!
矯正治療が終わった時、治療後の歯並びと治療前の歯並びを比べてお見せすると、大変驚き、喜ばれます。
意外と、以前の歯並びを忘れてるんですね、2~3年の矯正期間中の患者様と主治医の共同作業の頑張りが報われる瞬間です。
この「美しくなる喜びと食の喜びを提供する」のが江口矯正歯科クリニックのテーマです。頑張ってまいります!

 矯正装置の選択は見た目、取り外しの有無、粘膜への影響、食事のしやすさ、治療のしやすさ、効果の出やすさ、治療費などからその方に合った方法を選びますが、治療する側としてのおすすめもしっかり伝えていきます。

最近、江口矯正クリニックではマウスピース矯正7割、ワイヤー矯正3割くらいの比率になってます、患者様の関心がマウスピースに多くなっていることがわかります。
また、リテーナーが治療と同じ位大事ですので、しっかりとサポートして後戻りしないようにすることが矯正治療の成功には肝要です。

江口矯正歯科クリニック

【この記事の著者】

歯科医師 江口公人 - 江口矯正歯科クリニック

江口 公人 えぐち きみひと

[ 経歴・資格・所属学会等 ]

  • 1988年 徳島大学歯学部卒業
  • 歯学博士
  • 日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
  • 日本口腔インプラント学会会員
  • インプラント認証医
  • 日本矯正歯科学会
  • KIRG準会員
  • 関西アライナースタディークラブ主宰

江口矯正歯科クリニックは、その前身の医院から数えると約25年間、新田辺駅前で矯正治療を行ってきました。その間、約3,000人の方々に矯正治療を行っていただきました。小さな医院だからこそ、患者様と話もしやすく、診療の風景も見てもらいやすいことはとても良かったと思っています。

子供の成長期の機能矯正治療から、成人矯正、マウスピース矯正まで行う事で、治療の選択肢を広げる事ができました。今後も患者様に合った治療を考えていきたいと思ってます。