出っ歯の原因は遺伝だけじゃない?生活習慣との関係も紹介

「出っ歯」は見た目の印象だけでなく、噛み合わせや発音、口元の動きにも影響を及ぼすことがあるため、多くの人が気にする歯並びのトラブルの一つです。
「自分の出っ歯は遺伝のせい?」「生活習慣も関係あるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
実は、出っ歯には骨格や歯の位置だけでなく、日常のクセや習慣が大きく関わっていることもあるのです。
ここでは、出っ歯の基本的な特徴から原因、治療法までをわかりやすく解説します。
出っ歯とは?まずは基本を知ろう
「出っ歯」は、正式には上顎前突(じょうがくぜんとつ)と呼ばれる不正咬合の一種です。
その名のとおり、上の前歯が前方に突出している状態を指します。
出っ歯の種類(歯性/骨格性)
出っ歯には、大きく分けて2つのタイプがあります。
それが「歯並びに問題がある出っ歯」と「骨格に問題がある出っ歯」です。
1.歯並びに問題がある出っ歯(歯槽性上顎前突)
歯そのものの位置や角度のずれによって、前歯が前方に突き出して見える状態です。
2.骨格に問題がある出っ歯(骨格性上顎前突)
上あごの骨そのものが前に出ているタイプの出っ歯で、顔の印象が気になったり、噛み合わせに大きなズレが生じる場合もあります。
また、これらが混在している「混合型」の方も多く、状態を見極めるには歯科医院での正確な診断が大切です。
出っ歯の原因は遺伝だけじゃない!
出っ歯というと「親もそうだから、仕方ない」と思われがちですが、実は生活習慣やクセが原因で出っ歯になるケースも少なくありません。
ここでは、出っ歯の主な原因について詳しく解説します。
1.遺伝による出っ歯
顔や骨格の特徴と同じように、歯並びや顎の形も親から子へ受け継がれることがあります。
とくに、上あごが前に出ている骨格や、歯が大きくて顎に収まりきらないといった特徴は、遺伝的な要素が関係していることが多いです。
その結果、自然と前歯が押し出されるように並び、出っ歯のような状態になることがあります。
2.生活習慣・癖による出っ歯
出っ歯は、生まれつきだけでなく、日常のクセや生活習慣が原因で後天的に起こることもあります。
特に以下のような習慣は、成長期の歯やあごに大きく影響します。
・指しゃぶり
長期間の指しゃぶりは、上の前歯を前に押し出す力がかかり、出っ歯の原因になります。
3歳ごろまでにはやめられるようサポートしてあげましょう。
・口呼吸
鼻ではなく口で呼吸をしていると、口元の筋肉(唇や舌、頬など)のバランスが乱れ、歯列に悪影響を及ぼします。
鼻呼吸を促すことで、口まわりの筋肉が自然と引き締まり、歯列の安定に役立ちます。
・舌癖(ぜつへき)
舌で歯を押すクセがあると、歯が前に押され、徐々に出っ歯になることがあります。
食事中や会話時の舌の使い方も影響します。
・頬杖・うつぶせ寝などの姿勢
片側からの圧力や長時間のあごの偏った使い方は、あごの骨の発育に悪影響を与える可能性があります。
背筋を伸ばして座る、仰向けで寝る習慣を身につけることが、あごの左右差や歯並びの乱れを防ぐポイントです。
・離乳食や食べ方のクセ
柔らかいものばかりを食べる生活が続くと、咀嚼力や口まわりの筋力が発達せず、あごの成長が不十分になることもあります。
このように、普段何気なくしていることが、出っ歯につながっている場合も。
お子さんの成長期はもちろん、大人になってからも改善できることがありますので、気になるクセがあれば早めに見直すことが大切です。
出っ歯を放置した場合のリスクについて
出っ歯は見た目の問題だけでなく、健康面や生活の質にも影響を及ぼすことがあります。
・見た目のコンプレックスになることがあります
出っ歯は顔の印象を大きく左右します。
そのため、笑顔を控えたり、人前で話すことに消極的になることも少なくありません。
・噛み合わせの不具合が起きやすい
出っ歯によって上下の歯がうまく噛み合わないと、食べ物をしっかり噛めなかったり、顎に負担がかかることがあります。
これが長期的に続くと、顎関節症や頭痛、肩こりなどの原因にもなることがあります。
・歯や歯ぐきの健康に悪影響を及ぼすこともある
前歯が突出していることで歯ブラシが届きにくくなり、磨き残しが発生しやすくなります。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。
・発音や口元の動きに影響が出る場合もあります
とくに「サ行」や「タ行」の発音がしづらくなり、話しにくさを感じることがあります。
出っ歯の治療法|生活習慣+矯正で改善へ
出っ歯の治療には、「歯の位置を整える矯正」だけでなく、原因に合わせたアプローチが重要です。
歯の傾きによる出っ歯なのか、骨格自体が原因なのか、生活習慣による影響も含めて、総合的に判断して治療を進めていきます。
1.歯の位置が原因の場合:マウスピース・ワイヤー矯正
歯の角度や位置によって前歯が出ている「歯性の出っ歯」は、比較的治療がしやすく、マウスピース矯正やワイヤー矯正で改善が期待できます。
・マウスピース矯正(インビザライン)
透明で目立ちにくいマウスピース型の矯正装置を使います。
装置はご自身で取り外すことができるため、食事や歯磨きの際もストレスなく行えます。
主に軽度から中等度の出っ歯の改善に適しており、見た目を気にされる方に人気の治療方法です。
・ワイヤー矯正
歯の表側にブラケットという装置を装着し、ワイヤーで歯を少しずつ計画的に動かして整えていきます。
多くの症例に対応できるため、出っ歯の程度や歯並びの状態にかかわらず幅広く治療が可能です。
どちらの方法が適しているかは、歯並びの状態やご希望に応じて判断されます。
2.骨格が原因の場合:外科的矯正や成長誘導
上あごの骨が前に出ている「骨格に問題がある出っ歯」は、歯だけでなくあごの位置や大きさをコントロールする必要があります。
・成長期(子ども)の場合
上あごの成長をコントロールする「成長抑制(上顎後方牽引装置など)」によって、将来的な手術を回避できる可能性があります。
・成人の場合:
重度の骨格性出っ歯では、外科手術と矯正を併用する「外科的矯正治療」が選択肢となります。
上下のあごのバランスを整え、見た目や噛み合わせの改善を図ります。
3.習慣の改善と並行して行う「筋機能療法(MFT)」
矯正治療だけでなく、舌や唇、口周りの筋肉の使い方を整える「筋機能療法(MFT)」も重要な役割を果たします。
・MFT(Myofunctional Therapy)とは?
舌の位置や動き、飲み込み方、口の開閉など、お口周りの機能をトレーニングする療法です。
矯正で歯並びを整えても、舌で前歯を押す癖や口呼吸が残っていると、後戻りのリスクが高まります。
MFTは、こうした再発防止にもつながる重要なケアです。
舌を正しい位置に保つ練習や、唇を閉じるトレーニングなど、簡単な動きを繰り返し練習します。
お子さまにも取り組みやすく、習慣の改善と並行して取り入れることで治療効果が高まります。
まとめ|出っ歯の原因と対策は、一人ひとり異なります
出っ歯は「遺伝だから仕方ない」と思われがちですが、実際には指しゃぶりや口呼吸、舌のクセなどの生活習慣が深く関わっていることも多くあります。
特に成長期のお子さまは、日常のクセが歯並びやあごの発育に大きく関わるため、早めに気づいて対処することが大切です。
また、すでに出っ歯の症状がある場合も、矯正治療や筋機能療法(MFT)などを通じて改善できる可能性があります。
「もしかして…?」と少しでも気になることがあれば、一度矯正歯科に相談してみることをおすすめします。
未来の健康な歯並びと自信ある笑顔のために、今日からできることを始めてみましょう。
江口矯正歯科クリニックの専門医より一言!
以前は永久歯が生えそろい、顎が成長しきってから成人矯正から開始し、必要なら外科矯正を交えながら、抜歯にて出っ歯を治すという治療が矯正専門医の中でも考えられていたと思います。
しかし、近年やはり成長期に何も行わずに外科矯正になってしまうのは親御さんとしても忍びなく、何かしてあげたいという考えで、小児矯正が当医院でもとても多くなっています。
小児期の成長期に、機能矯正装置を使用することで、出ている上顎骨の成長を抑制し、反対に成長が劣っている下顎骨の成長を促すことで上下顎のバランスをとる治療はとても効果があります。
また、前述のMFTにも力を入れています。
舌癖をとり、舌の訓練はその後の骨の成長にとても変化が出てきますので、もし当院で矯正されるなら、是非共に頑張りましょう!
江口矯正歯科クリニック
【この記事の著者】

歯科医師(歯学博士)
江口 公人 えぐち きみひと
[ 経歴・資格・所属学会等 ]
- 1988年 徳島大学歯学部卒業
- 歯学博士
- 日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
- 日本口腔インプラント学会会員
- インプラント認証医
- 日本矯正歯科学会
- KIRG準会員
- 関西アライナースタディークラブ主宰
江口矯正歯科クリニックは、その前身の医院から数えると約25年間、新田辺駅前で矯正治療を行ってきました。その間、約3,000人の方々に矯正治療を行っていただきました。小さな医院だからこそ、患者様と話もしやすく、診療の風景も見てもらいやすいことはとても良かったと思っています。
子供の成長期の機能矯正治療から、成人矯正、マウスピース矯正まで行う事で、治療の選択肢を広げる事ができました。今後も患者様に合った治療を考えていきたいと思ってます。
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