歯並びは綺麗なのに口ゴボになる原因とは?詳しく解説

「歯並びは整っているのに、口元が出て見える」
「歯並びは悪くないのに、なぜか横顔に違和感がある…」
実は、歯並びが整っていても“口ゴボ”と呼ばれる状態になることがあるのをご存じですか?
今回は、見た目に大きく影響する「口ゴボ(口元の突出)」の原因について詳しく解説します。

骨格が原因となる口ゴボとは?

口ゴボとは、上顎や下顎の骨格の問題や歯の位置によって、唇や歯が前に突き出ている状態を指します。
見た目としては、口元が突出しているように見え、特に横顔に影響を与えます。

1.先天的な要因
口ゴボの原因には、遺伝的な要素が当たっていることが多いです。
骨格や歯並びは親から続く影響を大きく受けるために、口ゴボもその影響を受けることがあります。

・骨格の問題:上顎や下顎が通常よりも大きく成長し、前方に突き出ている場合
・歯並びの問題: 骨格に異常がなくても、前歯が前に傾いて生えてしまう場合

特に、日本人はアメリカ人と比較して顎の形や歯の大きさに違いがあるため、口ゴボになりやすい傾向があります。

2.後天的な要因
後天的な原因としては、日常的に行っている癖や習慣が関わっていることが多いです。

・幼少期におしゃぶりが長く続いた
・舌で前歯を押す癖がある
・爪を噛む癖がある
・口呼吸
・軟らかい食べ物を食べることが多い

これらの癖は、顎や歯が成長する過程で影響を与え、歯を前方に出す原因になります。
特に、口呼吸や軟らかい食べ物ばかりを食べる習慣が続くと、口周りの筋肉が十分に発達せず、舌が歯を押し出す力に負けて、口ゴボの状態を悪化させることがあります。
また、これらの癖は無意識に行っていることが多いです。
そのため、矯正治療を行っても癖が改善されないと、再び口ゴボに戻る可能性があります。初期に癖を見直し、改善することが重要です。

Eラインを使った口ゴボのチェック方法

1.Eラインとは?
Eラインとは、鼻の先端と顎先を結んだラインのことをいいます。
横顔の美しさを測る基準として、歯科や美容の分野でよく使われています。

2.チェック方法
① 鏡の前に立ち、横から見ます
② 鼻先と顎先を結ぶ直線(Eライン)をイメージする
③ 唇がEラインより前に出るかどうかを確認します

3.判断基準
・唇がEラインの内側〜軽く触れる程度→ バランスの取れた横顔
・唇がEラインより前に出ている場合→口ゴボの可能性あり

歯並びが良くても口ゴボは治療したほうが良い理由とは?

口ゴボがもたらす健康リスクと問題点

1.かみ合わせの悪化による顎関節への負担
口ゴボは、かみ合わせが悪くなりやすく、上顎と下顎がうまくかみ合わないことがあります。
これが続くと、食事がしづらくなるだけでなく、歯や顎に過度の負担がかかり、歯の摩耗や顎関節症を引き起こす原因になることもあります。

2.口呼吸になりやすく、健康への悪影響も
口元が閉じにくくなることで、無意識のうちに口呼吸になりやすくなります。
口呼吸は、以下のようなリスクを高めます。

・虫歯・歯周病
・風邪やアレルギーを引き起こしやすくなる
・睡眠の質の低下

3.発音や滑舌への影響
口ゴボが原因で、発音に影響が出ることがあります。
特に、「さ行」や「た行」の発音が難しくなったり、舌が歯に正しく当たらないことから、言葉がはっきりしないことがあります。
これにより、コミュニケーションに不便を感じることがあるかもしれません。

4.美容的な影響
口ゴボは外見にも影響を与え、特に横顔のバランスが崩れることがあります。
唇が突出して見えることで、自信喪失や精神的な影響が生じることがあり、これが心理的なストレスの原因となる場合もあります。

口ゴボの治療方法

インビザライン

インビザラインとは、透明なマウスピースを使用した歯列矯正です。
コンピュータによって精密な3Dシミュレーションが作成され、患者の歯の動きに合わせたマウスピースを作成します。
その後、定期的に新しいマウスピースに交換しながら歯並びを整えていきます。

メリット
・透明なマウスピースで目立ちにくい
・食事や歯磨きの際は外して、衛生的
・金属アレルギーの心配がない
・比較的痛みが少ない

デメリット
・歯を大きく動かす抜歯を伴う症例や骨格的な口ゴボ改善には不向きな場合がある
・1日20時間以上の装着が必要で、自己管理が重要
・細かい調整はワイヤー矯正より難しいケースも

軽度の口ゴボや、非抜歯での改善を目指す場合に向いています。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、歯に金属のブラケットを取り付け、そこにワイヤーを通して力を加えることで、歯を少しずつ動かす方法です。
治療期間中は定期的にワイヤーの調整が必要となります。

メリット
・複雑な症例にも対応可能
・治療期間の予測がしやすい
・様々なタイプのワイヤーが使用可能

デメリット
・見た目が目立つ
・食事や口腔ケアの制限(硬い食べ物や粘り気のある食べ物を避ける必要があります。)
・治療中の不快感や痛み
・治療が長期間になる場合がある
・定期的な通院が必要

口ゴボの原因が骨格や抜歯が必要な場合では、ワイヤー矯正が適しています。

抜歯矯正が必要になる判断基準とは?

以下のようなケースでは、歯を並べるスペース確保や口元のバランス改善のため、抜歯が選択肢となることが多いです。

・歯が大きく、アーチに収まりきらない
・横顔のEラインから大きく唇が突出している
・前歯をしっかり後退させないと改善が難しい
・骨格のズレによる口ゴボではない(歯の位置の問題)

外科手術(外科矯正)が必要な場合とは?

骨格そのものが原因の場合は、矯正治療だけでは改善が難しく、外科手術(外科矯正)が必要となることがあります。

・上下の顎の骨が大きく前方に出ている
・骨格性の重度の口ゴボと診断された場合

手術と矯正治療を組み合わせ、口元のバランスやかみ合わせをしっかり整えます。

歯列矯正の一般的な治療期間

ワイヤー矯正:おおよそ 2〜3年
マウスピース矯正(インビザライン):1年半〜3年

症状の重さや抜歯の有無、骨格の状態によって期間は大きく変わります。
特に口ゴボのような歯の前突や骨格のズレを伴う場合は、比較的時間がかかる傾向です。

早く治療が終わる患者様の特徴

以下のような条件がそろっていると、治療期間が短くなる可能性があります。

・軽度の歯並びの乱れ(叢生・出っ歯などが軽い)
・抜歯の必要がない症例
・顎の骨格に大きな問題がない
・装置の装着時間や通院頻度をしっかり守れる
・歯の動きやすい年齢(10〜20代)で治療を始めている

まとめ|歯並びが良くても油断禁物!

口ゴボは見た目の印象だけでなく、かみ合わせや呼吸、発音など健康面にも影響を与えることがあります。
歯並びが良くても油断せず、気になる方は一度専門医に相談してみましょう。
適切な治療を受けることで、バランスの取れた美しい口元と健康的な生活を手に入れることができます。
気になる方は、まずは矯正専門医での相談をおすすめします。

江口矯正歯科クリニックの専門医より一言!

口ゴボは上記のように、骨格に関係なく歯が出ている場合と、骨が出ている場合とに分かれます。
もちろんその間(骨格は少々、歯も出ている)もあるのですが、歯科矯正での対象はもちろん歯が出ている場合と、その間のケースとなります。
歯が出ている場合は、矯正後にはE-Lineはストレートになり、口元や唇の形も改善し、審美的な口元となりますので、良い結果が得られます。
骨格は少々出ており、歯も出ている場合もご本人が外科矯正までは望まれてないのであれば、現状よりかなり良くなると思いますので、歯科矯正の適応です。
しかし、歯は顎の骨に対して前に出ておらず、顎骨ごと前に出ている場合は、歯科矯正のみでの改善は望めませんので、外科矯正をおすすめすることとなります。
その際は保険が適用になる場合も多くありますので、外科を行う病院に紹介させていただいております。

江口矯正歯科クリニック

【この記事の著者】

歯科医師 江口公人 - 江口矯正歯科クリニック

江口 公人 えぐち きみひと

[ 経歴・資格・所属学会等 ]

  • 1988年 徳島大学歯学部卒業
  • 歯学博士
  • 日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
  • 日本口腔インプラント学会会員
  • インプラント認証医
  • 日本矯正歯科学会
  • KIRG準会員
  • 関西アライナースタディークラブ主宰

江口矯正歯科クリニックは、その前身の医院から数えると約25年間、新田辺駅前で矯正治療を行ってきました。その間、約3,000人の方々に矯正治療を行っていただきました。小さな医院だからこそ、患者様と話もしやすく、診療の風景も見てもらいやすいことはとても良かったと思っています。

子供の成長期の機能矯正治療から、成人矯正、マウスピース矯正まで行う事で、治療の選択肢を広げる事ができました。今後も患者様に合った治療を考えていきたいと思ってます。